_DSC2215


いつもブログをご覧いただいてありがとうございます。
先ほどもお電話で「初めての注文なんですが、ブログは以前から読んでいました!」との一言! 。この何気ない一言が、私のブログ執筆に力を与えてくれています。嬉しいです! 本当にありがとうございます!

さて、今日は加工のお話しです。
当店では靴の販売のみならず、靴の修理や加工も承っております。今回、私の愛用靴フラテッリジャコメッティと、お客様のジャコメッティのブーツ加工を承りましたので、そのお話し。革靴っていうと高級感のある革底の靴ってイメージがある人もいると思います。革底っていうだけで、なんだかイイものを買ったような気分になります。ところが、実用性を考えた時にある問題が浮上します。それが、滑る、染みる、減るの革底3大ネガティブ要素です。特に日本では、雨はどうしても避けて通ることができません。
そこでオススメしたいのが、革底にラバーを貼る加工です。

こちらは、私のジョッパーブーツです。長年愛用していて、いい感じに育って来ています。ブーツなので、基本秋冬に履くものなのですが、新潟県の秋冬はとにかく雨と雪に悩まされる地域で、そんな中を革底で歩くと、途端に靴の寿命が縮まっていってしまんですよ。だから、結果的に雨や雪が降っている日の稼働率は下がってしまう。でも、人間、好きな靴を好きな時に履きたいじゃないですか! 
_DSC2214

そして、今回加工をした結果、こんな感じ仕上がりました。
私は、これはをソール加工3点セットと呼んでいます(笑)何がセットかといいますと、まずですね、ハーフラバーですね。フロント(前半分)部分に広いゴム上で細かいサイプが刻まれているラバーを貼りました。ビブラム製で耐久性もあります。よくショセのブーツにも別注で貼ってもらっていましたが、今回はジャコメッティーに装着して試してみようという試みです。どんな履き心地になるかちょっと楽しみ(笑)ついでに、トゥ(爪先)にはヴィンテージトゥスチールと呼ばれる金具を取り付けて強化してみました。この部分は、様々な金具の種類がありますが、これをオススメしています。理由は、耐久性が高まるのはもちろんですが、それとよりも再リペアが簡単ということです。他の形状だとちょっと厄介で、簡単に直すことができないことがあり、最悪オールソールリペア(靴底全部交換)になることも。だから、この組み合わせをオススメしています。
_DSC2214s

続いては、ヒール部分。こちらも同型トレッドパターンのヒールに交換しました。ヒールの高さも元の状態に近づけてあるので、履いた時の違和感は少ないです。副次的な要素として、履き心地にクッション性能が付加されるで、めちゃめちゃ心地よく歩けるようになりました。年齢的に足腰膝にお悩みの人もいると思いますが、そういう意味でもオススメです。

ここまでやってデメリットは、少ないですけど、やっぱり革底ならではの通気性や軽快感、歩くときの音色もほぼなくなるので、それが嫌だって人は一考かもしれません。しかし、逆にいつでも履ける安心感。滑りにくくなる。カツカツといった音が軽減されるから良いという人も多くて、最近ではこの3点セット加工のご依頼も増えてきました。もし不安があれば、試しに一足加工してみるのもいいと思いますし、私の靴でよければ実際に履いてみて頂けますので、ご来店の時にお声がけください。サイズは27.0cmの人限定になっちゃいますが(笑)





そんな事を言っていたら、さっそく3点セット加工のご依頼を頂きました!
こちらもフラテッリジャコメッティで、スウェードのサイドゴアブーツです。京都在住のお客様からのご依頼品になります。I love 京都! よく旅行も行かさせてもらっている京都からのご注文嬉しいですね。
京都もたしか雨雪はそこそこ多いんですよね?。そんなイメージなんですが、新潟県ほどではないにせよ、降っているというイメージ。靴底を加工しても損はない筈です。
_DSC2213

今回のご依頼品は、やはりビブラムソールですが、ソールパターンが私の加工したものと異なります。こちらの方が人気が高いソールです。溝が低くて細かくて薄っぺらいんでけど、グリップはしっかりしていて、もちろん水は通しません。見た目にもレザーソールに近い印象で履けるのでスタイリッシュです。革底特有の音鳴りの軽減も十分期待できます。このハーフラバーソールに合わせたヒールを装着し、ヴィンテージトゥスチールもご注文頂きました。
_DSC2212

私の持っている靴で、加工している靴のほとんどが、このパターンが多く、実際に履いているからこそ安心してお勧めしています。こちらも消耗部材ではあるので、交換修理にも対応できます。そうそう、メリットの一つに、本底が減りにくいからオールソールの頻度が減るというのも加えないといけないですね。

革底だと頻繁に履く人ほど、革底の減りが早く、オールソールリペアという流れになるのですが、そう何回も張り替え修理ができるというわけではありません。ウエルトという部品に縫い付けて装着するのですけれど、そのウエルトが耐えられなくなると、交換修理が厳しいと言われています。他にも対処方法はあるのですが、本来の履き心地でもなくなくる、下手すると製法も変えないといけなくなったりで、あまりいいことではありません。そこへ行くと、ハーフラバー加工にちょっと投資しておくだけで、長く愛用できる耐久性を享受でき、雨天などスリッピーな路面でも安心して履けるというリターンを得られる方がメリット高し! と思う人が、ほんとうに増えてきているように感じます。

大切に愛用して長く履きたいという日本人ならではの思考かもしれませんが、いいことですよね。気が向いたらいつでも加工できますので、当店で買っていないお手持ちの靴でもお気軽にご相談いただければ幸いです。
(※靴のデザインや消耗状態によっては加工できないものもあります。なるべく新品時の加工がお勧めです)