建築業界で腕を振るうお客様のVチップ。革はカーフです。実にタフな職種でしてかなりの率で荒地や汚泥地を歩かなくてはなりません。よって、普通であれば気を使わなくても良い安い靴、捨て靴を購入するのが一般的。もしくはゴム長靴。しかし、建築デザイナーでもあるというポリシーのもとに靴好きということも手伝って、足下はいつもオールデンだったりパラブーツだったりトリッペンだったりします。
毎回メンテナンスに持ってきてくれるのですが、その度にドロ塗れの状態から救い出す作業が伴います。それは少し手間の掛かることですが、その後に現れる美しい革の状態を知っているから苦ではありません。
しかし、さすがタフな現場で履いているだけあって、至る所が傷だらけ。今回は新たにカカトに大きな窪みができていました。専用のパテを使って埋めましたが、それでも乾くと凹みます。ただ、完全に埋めると態とらしくなる。
当店のお客様なら分かっていただけるのですが、『靴の傷は勲章である』から敢えて完全には消さずに程よく残したりもします。きれいにしたところでまたすぐに大変な現場へと履いて出かけるでしょうから、その辺はバランスを見てですね。展示会で履くとなればもっとピカピカにしたりも。
長く愛用頂いて、Vチップも喜んでいるようです。次回はヒールのトップリフト交換もしするかとオールソールかな。
ではまた!