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関東のお客様からご依頼のあったALDEN 53438 コードバン プレーントゥ#8です。10年前くらい購入してくれたオールデンが里帰り。大事に履いてくれているようで嬉しい! 奥様とご来店頂いた際に、メンテナンスでお預かり。コードバン特有のシワ部分がザラザラして来たところは、レザースティックや熊野筆などなどを駆使して丁寧に仕上げました。ただ、やり過ぎてしまうと折角の傷がなくなってしまうので、ほどほどに仕上げるのが理想的です。傷って言うとネガティブなものに聞こえますが、靴の傷は、これまで履いて来た時を刻んだ記録です。この傷はぜひ生かしたい。でも汚い傷はなるべく消したい。この辺のさじ加減が面白いんです。


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何でもそうですが、“ほどほど”なところに真実味があっていいんです。だから最近は、固形ワックスもあまり使わない。あれは確かに光っていいんだけど、それはホーウィンのコードバンの輝きではないわけで。ワックスも否定はしないで、使うところは使いますが、最近の私の中のトレンドはナチュラルに仕上げる。これにハマっています。

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それにワックスを使うと、その後の維持をしなくちゃならない。ところが素人さんにはなかなかハードルが高い。でも、当店で仕上げたALDENならブラッシングして頂くだけで維持が可能。たま〜に乳化性のクリーム、できたらオールデン純正のファインブーツクリームを少し加えて磨くだけで、自然なコードバンの輝きが蘇ります。ブラシだけはいいものを使いましょう。一生ものですから。

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とまぁ、時間はかかりますが、そんな靴になるように心を込めて磨いています。

また10年後? お待ちしております。