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手のひらサイズの3つ折型コンパクトウォレット。モトのEMBODIMENT(エンボディメント)ライン作品。身体化・具体化と訳され、抽象的な概念が具体化されるという意味を持つ。感情、記憶、思想など抽象的なイメージを、既成概念にとらわれず、プロダクトやオブジェとして具現化するプロジェクト。革とは、単なる綺麗な素材の一つではなく、自然から生まれた、人間が作り出せない生きものの素材であることも、強く打ち出したい。その素材感を強く感じられるタンナーの革を選択している。

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ラフバケッタレザーは、伝統的なバケッタ製法で鞣された上に、表面を手作業でスクラッチ加工が施されている。十分に加脂され、経年変化は抜群である。正にベジタブルタンニン鞣しの理想形。スクラッチは、革のコシを失うことなく、表面にしなやかさを与えている。水ジミ実験してみたところ、表面がやや起毛していることで跡が着き難い特徴があるようだ。オイルの浸透もよいので、メンテナンスにより、如何様にも作り上げる楽しみがある。ただ、EMBODIMENTとしてこの革を選んだのは、スペックが理由ではない。革の表面をスクラッチし、ヌバックとする技法は広く、一般的に普及している。

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しかし、この革においては、そのスクラッチは繊細な手触りで絵画的。イタリアで作られている革であるが、妙に日本的である。和紙のようにも見え、霧がかった海、山、大地を想像する。はっきりとしない、ややグレーがかった中間色のためか。まるで1点物のように個体差が生じると思います。理解の上ご注文下さい。(本革ファンには釈迦に説法ですね)

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素材ばかりの解説に終始しましたが、使い勝手の良さは申し分なし。比較的コンパクトなボディーながら札入れ、カードケース、コインケースが装備されています。見た目のみならず手触り感も味わって欲しいし、MOTOの標榜するEMBODIMENT体験を味わえる最初の作品として入手する価値のあるアイテムなのだ。